連載「法被をつくる」その2――深く、広い
前回、この連載の第一回を書いたのは、つい一か月ほど前のことだったように思います。
あの時点では、まだほとんど何もないところからのスタートでしたが、えらいもので、一か月も経つと物事はずいぶんと前に進むものですね。
この一か月まずは手をつけたのは「方向性やテーマを決めること」でした。
作りたい作品に対して、どんなイメージを持つのか、どんな言葉を連想するのか。
話し合いを重ねながら、少しずつ共通のイメージを”かたち”にしていきました。
膨大なアイデアの海から要素を探す
そこから次のステップとして行ったのが、「イメージ探索」です。
インターネットを覗けば、世の中には本当にたくさんのアイデアの種があります。
ファッションの写真や筆の文字、イラストなどどんな要素でも、アイデアの一旦となっているので、どれだけでも掘り下げていくことができる気分で、どこかで切り上げないといつまでも、しずんでいくことができそうでした。
そんなアイデア探しの中から、テーマに照し合わせ、
- 「これは合うかもしれない」
- 「この線の動きはイメージに近い」
- 「この服の色味や形は、狙っている方向と近いのか、あるいは遠いのか」
そんなことを考えつつ、さまざまな観点から要素を集めていきました。
「分解」と「再構築」で法被のデザインに落とし込む
集めた要素を、「整理し、分類し、細かく分解」していきます。
そうして抜き出した要素を、法被の柄や描きたい雰囲気として、実際のデザインに落とし込んでいく作業に入ります。
形をつくっては壊し、
修正しては整え、
またつくり直す。
その繰り返しに、思った以上に時間をかけました。
最終的には「これでいこう」と言える方向性を、ようやく固めることができました。
デザインにおいて大切なのは「質よりも量」
この過程を振り返って、強く感じたのは「デザインにおいて大事なのは、質よりも量なのではないか」、ということです。
ひとつの要素を抜き出すために、数百のイメージを見てきてやっとの思いがあった気がします。
時間がかかってしまうなという思いと、出てこないのだから探すしかないという色々な思いがめぐっては消え、めぐっては消えという感じでした。
経験を積めば積むほど、この量は減っていくのだろうか。そんなことも考えました。
けれども、なんとなくの想像ではありますが、プロであればあるほど、インプットの量は莫大になっていくのではないか、そんな気もしています。
ここは本当に「深く、そして広い世界」なのだと感じています。
一方で、知識や経験によって”わかる人”には、確かな輪郭が見えているのだろうとも思います。
逆に言えば、知識と経験さえ積み重ねれば、この世界は決して特別な人だけのものではないのかもしれません。
難しく考えすぎるよりも、とにかく量を重ねていく。
今のところ、行き着いた結論はそんな感じでした。
深く、広い。
この言葉を、連載のひとつの軸として、タイトルにしてみようか。
実感と共に、そんな考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えの繰り返しの日々でございます。
リトハピ法被 編集部 宇野
昭和29年創業、名古屋の捺染工場が運営するリトハピ法被。
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